狩猟記#2

Season 1 (2017)


巻き狩り2戦目(2018.2.11)

こんにちは,Borkです.

先週に続き,所属猟隊の巻き狩りに参戦させていただきました!

猟期も残りわずかのため、かなり遅くデビューした私は、可能な限り参戦します。

今回も猟犬を飼っている勢子の2人が『待ち』の配置を決め、それぞれのメンバーが指定されたポイントに着きます。当然自分も配置に着きますが、今回は師匠ではなく、他の先輩猟師の方と一緒に『待ち』に着きました。

一昨日まで雨が降っていたため、前回と異なり地面がぬかるんでいます。特に森の中は陽が当たらないのでなかなか乾きません。こういう時は非常に滑りやすく、猟銃を持っての移動なので慎重に慎重にポイントまで山を登ります。

先輩猟師とポイントに着き,実包を装填し息を潜めて無線の合図を待ちます。先輩猟師の無線に犬が放たれたと情報が飛びました。この時の山の静寂、そして周囲の気配を感じるために自分の五感を騒動員し集中する。私はこの感覚がとても好きです。先輩猟師からは「殺気が出てると動物たちも気づくから森の一部になるように息をひそめて待つんだよ」とアドバイスをいただきました。奥が深い!でもとても大切なことですよね。

自然界で生きる動物たちは人間が及ばない優れた能力を持っています。例えば...

鹿の優れた能力
走るなどの身体能力の高さは言うまでもなく、人間よりも特に発達しているのは聴覚だと言われています。聞き取れる領域が広いとのこと。聞きなれない音(金属音等)には特に敏感だそうです。視覚は犬と一緒で白黒と言われていることや目が顔の側面に位置していることなどから、動かないものに対する反応や距離感の測定等は苦手分野だと考えられます(植物を視覚で判断しているという報告もあります)。そのため主に聴覚や嗅覚からの情報を頼りに危険を察知していると思われます。 

ということで、可能な限り音を消し、気配を消し『待ち』に徹します。その後少し時間がたち、先輩猟師に無線が入りました。どうやら犬がすぐ戻ってきたとのこと。つまり犬を入れた周辺には鹿がいなかったようです。『待ち』を解除し、一度集合するように指示が飛びました。

今度は違う所から犬を入れようと勢子が相談し、それに合わせて『待ち』のポイントを決定します。今度は山の尾根に近いところで追われてくる鹿を待つことになりました。今回も地面がぬかるんでいるため、慎重に山を登ります。

配置につき、犬を入れたと無線が飛んだ後に先輩猟師は自分と離れたところに向かい待機します。自分はイメージトレーニングを重ね、実包を装填します。いつ来るかわからない、でも油断はできません。少し待機していると、犬が少し離れたところで鳴き始めました。しかもかなり鳴いています。これはもしや!自分も犬が鳴くほうに意識を集中し息を殺します。

その時、4頭くらいの鹿の群れが斜面を横切って走ってくるのを確認しました。自分の位置から近くにくるまで鹿を引き付けます。前回と異なり今回は軽度打ち下ろし、鹿との距離が約30mになったところで引き金を引きます。1頭目の雄鹿が飛び跳ねます!「当たったのか?」自問しますが、まだ動いているため、次の矢を引きます。自動銃のMAX、計3発の弾を打ちましたが、鹿の群れはそのまま尾根を下り逃げていきました。

鹿に弾を打ち込んだ周辺を調査しますが、血痕等は見当たりません。これはもしやはずしていたのか...千載一遇のチャンスを(涙)。なんてことだ。

 


鹿を見ることもできない猟隊員もいるなか、見学の時、そして前回に続き鹿を見れて、かつ引き金を引くことができているのに...運は持っているが、腕が悪すぎる(涙)。

銃声を聞いて駆けつけてきた先輩に当時の状況を詳細に説明し、鹿が逃げた方向を無線で飛ばしてもらいます。ただその後鹿の群れはうまく逃げたようで、銃声が聞こえてくることはありませんでした。勢子同士が相談し、一度『待ち』を解除することになりました。車までの下山中、あれほどのチャンスを逃した自分に対する自責の念に駆られます。悔しい!

下山後、昼食を取りながら隊員のみなさんに謝ります。猟隊長からは「新人だからそんなに簡単には取れないよ。まあ鹿の群れがいるということがわかってよかったじゃないか」というお言葉。他の皆さんも同じように声をかけてくれます。皆さん優しい!いい猟隊に入ってよかった(笑)。ただこの優しさに甘えてばかりはいられません。失敗の原因を分析しないと!次こそは必ず。

そして、昼食後に最後のラウンドに回ります。もちろん自分も『待ち』に着きます。どうやら犬が入れられたようです。鳴き声も遠くで聞こえます。すると銃声が!自分よりも上に配置していた先輩が下りてきました。他の『待ち』の方が鹿を仕留めたそうです。自分とは違うな...(当たり前ですが)、最後はベテランの方がいつものように手際よく解体して、肉のおすそ分けをいただきました。何か申し訳ない気が。

まだ2回しか狩猟を行っておりませんが、毎回鹿に遭遇する自分は非常に運がいいんだと思いました。先輩にも何か持ってるねと言われました。あとは腕があれば...巻き狩りに必要なギア(無線・GPS)もない...ただの手間のかかる新人と化しています。狩猟の面白さと自分への残念さを感じた一日でした。

Bork
考察

前回の失敗からイメージトレーニング+シャドウ射撃を続けたが、まだまだ不十分で学習が成立していないことが考えられた。また、他の要因としては鹿を見ると焦ってしまうこと(これは場数をこなすしかないと考えられる)、前回、今回と立位で射撃したが、射撃時のフォームが悪いことが可能性としては考えられた。射撃場でそのあたりを確認したい。