狩猟記 単独忍び猟 #2

Season 2 (2018)


ようやく『単独忍び猟』に行ってきました。前回から約一ヶ月ですね。本当はもっと行きたいのですが、日曜日は『巻き猟』に参加してますので、平日に有給休暇を取り出猟します。

前回は昼前に引き上げたのですが、今回はもっと長い時間山に入りました。やはり山に入らないと分からないことが多く、いろいろ勉強になりましたので次の『単独忍び猟』に是非生かしていきたいと思いますね。

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狩猟記 単独忍び猟 #1

Hunting Diary
第1R目

自宅を朝5時に出発し、日の出前に狙っていた猟場に到着しました。ハンターらしき人も一般の人ももちろんいません。日の出前なのでまだ辺りは真っ暗です。気温はそれほど低くないのですが、一応ミッドレイヤーも着用しました。出猟の準備をし日の出時刻を待ちます。

そして日の出時刻とともに山に入ります。当たり前ですが、山の中はまだまだ暗く静まりかえっています。時々聞こえるのは鳥の囀りくらい。そして、水量の少ない沢の音。まだ2回目ですが、この感覚がとても好きなんですよね。自分の中の神経が研ぎ澄まされていく感じ。

『巻き猟』のときは、割と“雑”な感じで「待ち」のポイントに歩いて向かうのですが、今回は違います。自分一人と自然との勝負ですからね。獲物に気付かれないようにゆっくりと歩みを進めていきます。落ち葉や枝を踏むたびに出る音。やはり無音は難しいです。しかし、極力音を立てないように進んでいきます。

そして、視界が開け沢が上流まで続いているのを確認できるポイントに到着しました。まだ薄暗いのですが、よく見ると獲物である鹿がいます!しかも4頭も。急激に高鳴る心拍数。深呼吸をして気持ちを落ち着かせます。そしてゆっくりと装弾をウエストポーチに付けたポシェットから取り出します。深呼吸をしながら相棒のウリカを挙上し構えます。距離は結構離れており、約120mといったところでしょうか?ボルトアクションの散弾銃ならいざ知らず、私の相棒BERETTA AL391ウリカと私の腕では残念ながら有効射程距離ではないと思います。しかし、うまくいけば距離を詰められるのではと考え、とりあえずは装弾を装填することとしました。そして、装弾を装填しようとした瞬間、鹿達がこちらに気付きました。

またまた、「ピー」という警告音を発しながら、沢から出て山を登っていってしまいました... またもや気付かれてしまい遠くなる鹿との距離。すでに射程範囲を遙かに超え、おそらく150m近くは離れてしまったと思います。しかし、そこで鹿達が止まりこちらを見ています。鹿からはこちらが見えているのでしょうか?このまま距離を詰めれるかと考え気配を殺し待っていましたが、結局鹿達はそのまま山の奥へと消えていきました。

前回に続きまたやってしまいました。鹿に気付かれてしまいました... 少し不用意だったかと。偉そうなことは言えませんが、やはり狩猟は獲物が近くにいるかもしれないと想定していないと駄目だと思います。おそらく『単独忍び猟』で獲物を仕留める最大のチャンスだったはず。まだまだですね。

Hunting Diary
第2R目

いつまでも落ち込んでいてもしょうがないので、そのまま鹿達が逃げていった方向を確認し、山を登っていきます。この辺りは尾根へ向かう勾配が何個もあるのですが、すべての勾配が急登となっており、足下に注意しながら登らなくてはなりません。さらに周囲にも気を配ります。途中写真のような新しい鹿の糞や足跡などのフィールドサインがいたる所に。どうやら近くに寝屋があり、沢に水を飲みに来ているようですね。獣道があります。

途中、隣の勾配の上方からガサガサ落ち葉や枝を踏む足音が聞こえてきました。まずはその場から極力動かないようにし、気配も殺せているかどうかは分かりませんが、殺すように努力はしました。そして、獲物の姿や顔がはっきりと確認できるまで待ちます。いつでも装弾を装填できるように右手に装弾を持ちながら待ちます。ここで前回のように装弾を装填してしまうと遊底を閉じる際に出る甲高い金属音で逃げてしまうでしょう。教訓を生かさないといけませんからね。相手はまだこちらに気付いていないのか?姿こそ出しませんが足音は連続的に聞こえてきます。この獲物(かどうかはまだわかりませんが)との駆け引き、緊張感があって好きです。

結局そのまま足音はしなくなりました。その後も少しの時間待ちましたが、動きも無かったため右手の装弾をしまい、尾根を目指します。結構な急登ですが、獣道歩きやすかったです。ありがとう動物たちw。

Hunting Diary
第3R目
尾根に出てからは稜線を歩くため、体力的には全然楽ですね。そして、鹿達が逃げた方向に稜線を歩いて行きます。上から攻めてみようと私なりに作戦を立てました。その途中、新しいフィールドサインがあるか確認しながら稜線を進みます。この辺りかなというところで、下山を始めます。ここももちろんゆっくりと下りていきます。ハンターになるまで気にしていませんでしたが、フィールドサインはあるところにはあるんだな〜とか考えながらゆっくりと下山していきます。

そして、またもや「ピー」という警告音が聞こえてきました。また気付かれたか?自問しながら周囲に鹿がいないか確認します。まあいればいいんですが、見つけられませんでした。またか...と肩を落とし、沢を目指して下山を再開しました。

う〜んどうしても先に見つけられてしまいますね。気配や臭いを感じ取られているのでしょうか?臭いに関しては尾根側から下りたので風下だったはず。とすると気配でしょうか。この辺りを明らかにしないと、『単独忍び猟』で猟果をあげるのは難しそうです...

その後沢まで下りましたが、途中で鹿に会うことはありませんでした。まあしょうがないですね。ということで気を取り直して次のポイントに移動することにしました。そこまでは一旦車で移動します。

Hunting Diary
第4R目

性懲りも無く次ぎのポイントに移動し、また山に入ります。こちらも沢が豊富に有り、鹿のフィールドサインも多く確認できるポイントです。時刻はすでに10時過ぎ。日の出から出猟しているので、すでに4時間は経過しています。しかし、疲労感はほとんどなく、むしろ楽しさの方が遙かに勝ってますね。

そしてまたゆっくりと歩を進めます。山に入るたびにこの繰り返し。少しでもこれまでの失敗を生かしながら山を歩きます。当たりまえのようにフィールドサインを探します。やはりたくさんありますね。足跡、糞などなど。でも姿は見えない...すでに日も昇っているので南側の暖かい方に移動しているのでしょうか?確認するために尾根を目指すことにしました。

尾根を登る際は獣道を利用させてもらいます。楽ですから。そして尾根に上がります。この際も私なりに気を遣い、ゆっくりと尾根に上がりました。そして尾根を適当に歩きますw。肝心の鹿などはいませんね。まあそれならそれでいいかということで、さらに歩を進めます。この辺りから登山気分になってきていました...

尾根を下り始めたところで、雄鹿がナワバリを主張するため角で付けた傷が木の幹にあるのを確認しました。かなり皮がめくれていますね。こういう主張をするということは若い雄鹿ではなく、壮年期の7〜8歳のナワバリ・オスでしょう。もっと早い時期(発情期)だったら、鹿笛を吹けばナワバリ・オスが来たかもしれませんね。やはり山を歩くといろいろなことがわかります。

そして下山を始め、沢沿いを歩いていたとき、雄鹿の死体を見つけました。すでに骨と皮だけになっていましたが、まだハエがたかっていたのでそれほど古くはないと思います。死体解剖をしたわけではないので仮説ですが、おそらく半矢になって息途絶えたのではないかと思います。まだ若い雄です。半矢とは決まったわけではありませんが、やはり『1 shot 1 kill』で確実に命をいただくのが理想ですね...やはり引き金を引くなら最後まで責任を持ちたいものです。合掌してその場を離れました。

Hunting Diary
まとめ
結局獲物を確認できず、車が止めてあるところまで下山しました。下山後、車に戻り歩いた距離をスマホで確認してみました。歩いた距離は10km強。我ながら結構歩きましたねw。でも疲労感はなし。残念ながら獲物を仕留めることはできませんでしたが、多くの事を勉強することができました。無事に帰ってこれましたし満足しています。そして自分の詰めの甘さもよくわかりました。次の『単独忍び猟』はおそらく来年になると思いますが、今回の失敗を必ず生かしたいと思います。

下山して感じたのは、やはりいいですね『単独忍び猟』。体力はもちろん必要ですが、自然と一対一で向き合う感じは非常に魅力があります。できればもっと出猟したいですが...まあ我慢しましょうw。次回は『巻き猟』になると思います。それではまた。

本日の猟果
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Bork
考察
『単独忍び猟』で猟果を得るには、まず山を知り尽くすこと、そしていかに獲物に気付かれずに先に見つけることができるか。今回この2点を学ぶことができた。次回は山でいつ獲物に遭遇してもいいように集中し、猟に望みたい。