前回の『単独忍び猟』から10日。年内の『単独忍び猟』はもうないだろうと考えていましたが、なんと年末のとある日、午前中だけという条件付きで出猟することが出来ました!嬉しいです(涙)。
午前中だけでもありがたいので、当たり前ですが出猟します。今回で『単独忍び猟』は3回目。これまでの猟果は“0”...鹿と猪は目撃しています。でも仕留められていない。なんというか毎回反省点だらけなんですよね。今回もその反省点を踏まえ出猟しました。
三度目の正直なるか?はたまた二度あることは三度あるか?という記事です...
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いつものように静寂に包まれている山中。これから自然と自分の戦いが始まるのかと思うと本当に興奮します。もちろん興奮しすぎても殺気が出過ぎてしまいますので、呼吸を整えながら山を歩いて行きます。
そして、前回鹿の群れを確認したポイントが近づいてきました。ここからはさらに歩行速度を落とし、なるべく音を立てないように徐々に近づきます。そして、まさにそ〜っと鹿がいないか沢をのぞき込みます。すでに右手には装弾を把持し相棒のウリカも構えやすい位置に挙上させています。
しかし残念ながら鹿はいませんでした。しょうがないのでそのまま山を進みます。もちろんゆっくり歩行します。そして少し歩を進めたら立ち止まり周囲を確認、そしてまた歩を進める。この繰り返しで尾根へ上がる急登の前まで歩を進めました。
ここで引き返しルートを変更するか?、あるいはそのまま急登を登り尾根まで上がるか?で悩みましたが、尾根まで上がることにしました。理由としては当日は最強寒波の影響で気温が下がっており、この日も−3℃と今年では最も寒い日となっていたことから、尾根の反対側(南側)の陽が当たる方に鹿はいるのではないかと考えました。
大切なことは自分なりに仮説を立て、検証してみることです。結果はどちらに転ぶかはわかりません。わかりませんが、ただ目的もなくさまよって偶然獲物を仕留めることが出来ても、それはあくまでも偶然です。やはり自然相手の狩猟においても確立をいかにあげていくかということが大事だと思います。どんな小さな検証でも自分にとっては貴重なデータとなります。研究がまさにこの繰り返しです。狩猟もこの仮説&検証の繰り返しでレベルアップしていくはずと考えています。
油断せずに尾根を進みます。こちらは尾根の下とは異なり陽が当たっているため、暖かいです。またまた登山気分になりそうな時、鹿の鳴き声が聞こえてきました。急いで身を隠します。今回の鳴き声はこれまで聞いてきた警戒音ではなくw、初めて聞く鳴き声でした。木々が擦れている音とも違う、何とも言えない音。割と近いところにいるのではないかと判断しました。
装弾を取り出し、装填せずに待ちます。一気に緊張感ある空気が漂います。その後鳴き声は聞こえてきますが、姿はまだ確認できません。あの辺りにいるんだろうというところまでは予測ができますが、木も多くはっきりとは見えない...ここで悩むのが、鹿の姿が確認できるところまで動くのか否か。非常に悩みます。こういうシチュエーションですと悪い方に考えてしまいます。動いたら気付かれて逃げられるのでは?とか。
大体20分間くらい息を潜めていましたが、意を決して動くことにしました。そして、極力音を立てないように移動します。そして鹿が見えそうなポイントまでもう少しという所で、鹿の「ピー」という警戒音が聞こえてきました!そしてガサガサと走り去る音が...残念。こちらからは姿は見えていませんが、向こうからは見えたのかもしれません。う〜ん難しいですね。単純に我慢比べに負けたということでしょう。あとは身を潜めた自分の位置取りが悪かったということも考えられますね。
鹿の警戒音を聞いたため、そのまま尾根を下ります。またどこかで会えるかもしれないと考え、こちらも油断せずにゆっくりと歩を進めます。そしてやはりフィールドサインが至るところに。これだけあるのに出会いが少ないのは、やはり自分に原因があるのだと思います。
まだ時間的には余裕がありますので尾根を下ったあとは違うポイントに向かいます。こちらは初めての山。ぶっつけ本番です。最初は人しか歩けないような林道がありますが、途中からは道らしい道は無くなりいつのまにか獣道を進んでいます。獣道歩きやすいんですよね。
フィールドサインはいろいろありますね。鹿の。ここはちらほらとシダ植物や広葉樹もありますが、ほとんどが針葉樹林ですのでいるのは鹿だけだと思います。少し古そうですが木につけられた雄鹿の角跡。猟期前半なら鹿笛が使えたかもしれませんね。
そしてそのままゆっくりと歩を進め、尾根の方を見上げると「ピー」と鹿の警戒音が...なるべくその場を動かずに鹿を探しますが、見当たりません。擬態に関しては動物の方がはるかに優れています。ただガサガサしているのと何回か警戒音を発しているのでそこまでは離れていないと思います。鹿も様子をみているのだと思います。鹿なりに安全圏というか逃げ切れるという距離があるのでしょうね。
そしてここでも木の陰に隠れつつ待つことにしました。姿は全く見えません。でもカサカサと落ち葉を踏む音は聞こえてきます。おそらく尾根の上のほうにいるとは思いますが場所までは把握できない。もどかしい感じです。もし撃つとしてもバックストップが微妙なので、こちらに降りてきてくれない限りは撃てないと思います。
緊張感ある鹿とのせめぎ合いが始まってから約15分。なんとなく気配がしなくなりました。おそらく尾根伝いに移動したのではないかと思います。またまた鹿との勝負に負けてしまいました。う〜ん本当に難しい...けど面白い。と次への課題が見つかったところでタイムアップとなりましたので下山することにしました。
これまでの3回の『単独忍び猟』で鹿の存在は確認できているが猟果は“0”。その要因としては、やはり自分の歩き方に大きな問題があると考えられた。また、気配を感じたら忍耐強く待つことも非常に重要であると思われた。以上の2点に注意しながら次回の『単独忍び猟』に臨みたいと思う。