狩猟記 巻き狩り #5

Season 2 (2018)


年明け一発目の狩猟は『巻き猟』です!この『巻き猟』も今回で5回目。私としてはまあまあ出猟したかな~と思っています。本当はもっと出猟したいのですが…まあいろいろありますよねw。今年は猪年ですので、干支である“猪”を仕留めてみたいですね。まだ一度しかお目にかかっていませんけども。猟期終了までにはなんとかならないかな〜。そんなに甘くない事はわかっているんですけど...

Hunting Diary
1R目

猟場までは高速道路で向かいますが、途中高速道路から見える草むらに2頭の鹿が草を啄んでいるのが見えました。お~こんな所で。禁猟区ですので警戒心はまったくなさそうですw。

年明け早々鹿を見れるとは、これは今年は運がいいかも?とかなりポジティブなメンタル状態で集合場所に向かいました。到着するとすでに数人の先輩方が。私も結構早く到着しているんですけどねw。到着早々に先輩のみなさんに新年の挨拶をします。

しばらくすると会長がやってきました。もちろん挨拶をします。そして猟犬たちにもw。『巻き猟』の主役と言っても過言ではありませんからね。そして少しの時間談笑し、作戦会議が始まりました。最近の鹿の動きから、どの辺りにいるかを長年の経験から導き出して、出猟ポイントを決めていきます。こういう経験を数値化できると面白そうですよね。統計学的に検証してみるとか。

新年一発目は私が“待ち”に入ったことがないポイントになりました。これは楽しみですね。そして当然のごとく私に割り振られた“待ち”のポイントは尾根w。そこまでの斜面が急登らしいです。そう言われると登りたくなる性格ですので楽しみです。これが私のグループ内での役割ですし、もう確立されているのでなんら苦ではないです。むしろ尾根の方が鹿が逃げてくる確率は高いのでありがたい事です。

そして“待ち”のポイントに向かいます。途中までは私を含め3人で向かい、ポイントごとに分かれていくという感じです。そして噂通りの急登が私の眼前に現れました。安全に気をつけて登り始めると、銃声が3発聞こえてきました。もう始まったのか?そう思っているうちにさらに2発の銃声が。どうやら始まっているようです。後から聞いた話ではまだ犬も放していなかったらしいですが、鹿がたまたま3頭いたらしく、発砲したようです。

正直おいおいと思いましたが、急いで斜面を登ることにしました。すると、近くでまた銃声が。その後、隣の尾根から続く斜面を横切ってくる親子の鹿が視界に入りました!

私はまだ急登の斜面。安定した場所ではありません。しかも相棒のウリカは銃カバーの中…準備しようかと思いましたが、どう考えても間に合わないので諦めました。私が“待ち”につくポイントのあたりを逃げていく鹿の親子。もう少し早く到着していたら絶好のチャンスでした…犬が鹿を起こす前に人が鹿を起こしてしまったということですね。残念。

とりあえず、猟は続いているようですのでポイントまで向かいます。そこで待機。もうすでに鹿が逃げたのでよほどの事が無いかぎり、また戻ってくるような奇跡は起こらないとは思います。思いますが、待機するのが仕事。息を殺し、殺気(すでに出ていなかったと思います)を封じ、待ちます。

初めて“待ち”についたポイントだったので、今後のために周辺の環境を観察しておきます。どこを鹿が通りそうだな~とか。すると隣の尾根の斜面を登っている鹿が偶然視界に入りました。しかし距離が遠い、遠すぎる…結局無駄撃ちはやめて見送ることにしました。鹿が登った尾根の方には“待ち”がついていないので、おそらくそのまま逃げたかと思います。また機会があったら会いましょうw。

そんなこんなで1R目は終了となりました。下の方でどうやら鹿を仕留めたらしいです。ということで、解体し早めの昼食となりました。

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2R目

昼食後2R目が始まります。この日は参加している猟犬がいつもより少なかったため、おそらくこの2R目で終猟となります。犬も野山を駆け回って疲労しますからね。ご苦労さまです。

そして私に与えられたポイントはもちろん尾根の上。この場所は親子の鹿を2頭仕留めた場所ですので、私的にはゲンのいいポイントです。今回は、新たに参加した方といつも一緒に尾根を登る方の3人でポイントを目指します。

そしてポイントに着き、いつものルーチンを行います。ここは慣れた場所ですので大体鹿が逃げてくる道はわかります。息を殺し、殺気を封じ、木の陰に身を潜めます。

少しすると犬の鳴き声が聞こえてきました。2匹くらいの鳴き声ですね。これはもしやと思い、集中します。しかしそのまま声は遠ざかりそのまま聞こえなくなりました…

この瞬間が一番悲しいですね。期待させておいて!みたいな感じです。こればっかりはしょうがないんですけど(涙)。まだ猟は終わっていないのでそのまま待機していると、新しく参加された方が私の視界に入ってきました。あれ、あの方はもっと下の方で“待ち”をしているはずでは?と思いましたが、連絡する術もありませんので、そのまま様子を見ていました。

他の方が“待ち”についているのを見る機会はあまりありませんので、観察してみるのも面白いかなと思ったわけです。この方、狩猟歴は私と同じ2年目みたいですが、あまり出猟していないようです。やはり伝手が無いらしく、どうしたらいいのか悩んでいたそうです。私と同じ境遇ですねw。私もそうでしたがこういう方多いと思います。猟友会もっと頑張らないと。

で、この方“待ち”についているのですが…めちゃくちゃ動いていますw。あっち行ったりこっち行ったり。それだと獲物は逃げてこないですよ~とか思いましたが、伝える術がないため、さらに観察。そしてその方は終猟まで動き続けていましたw。やはり人が動いていると目立ちますね。これは鹿などからもすぐわかってしまうと思います。ゆっくりゆっくり動きそして止まるのが基本だな~と妙に納得しました。『単独忍び猟』の勉強になったw。ありがとう。

結局獲物は取れず、この日は解散となりました。

Hunting Diary
まとめ
新年一発目の『巻き猟』。残念ながら自分で獲物を仕留めることはできませんでした。鹿自体は高速道路から確認したものも含め、計5頭。過去最高ですw。猟期もあと半分、可能ならもう少し仕留めたいですね。

そして気になったのが、“待ち”についているときに発見した木です。以前『単独忍び猟』の際も見たのとほぼ同じ。木の皮が大胆にめくられているものですね。これ、今までは雄鹿が縄張りを誇示するためにめくったものだと考えていました。ただYouTubeなどで見ると、ここまで激しく木の皮がめくられていないんですよ。鹿じゃないのかな~とか考えていたのですが、先日「狩猟生活VOL.4」を読み返していると、荒井裕介氏が執筆している「シカコール猟」の中で熊が縄張りを示す“樹皮剥ぎ”が紹介されていました。

その写真と私が雄鹿の痕跡と思っていた樹皮の剥がされた木が似ているんですよね...もしや熊?とか最近思い始めています。『単独忍び猟』で見つけた方の木は近くに糞がありましたが、鹿のものではなかった。猪かと思っていましたが、もしかしたら熊の糞だったのか?もう少ししっかり見ておけばよかったと後悔しています。

もし、熊だったら熊で何か神秘的ですし、是非遭遇してみたいと思います。逆に雄鹿だったらそれはそれでいいとも思います。どちらも山に生きる野生動物ですから。いずれにせよ山の中にあるフィールドサイン、これを観察するだけでも多くの発見があり、また貴重なデータとなる。これからも見逃さないようにしていきたいと思います。そして自分をハンターとしてレベルアップさせていきたいと思います。それではまた。

Bork
考察
今回、客観的視点から人間が山で動いている様子を観察することができた。人間が動くことは野生動物が動くよりも遥かに目立つことが明らかとなった。二足歩行ということで前後左右への重心移動が大きいことが影響していると考えられた。この点を理解し重心移動を極力抑え移動することが大事だと思われた。