狩猟が解禁されてすでに一カ月が経過しました。正直今シーズンは出猟回数が昨シーズンの同時期よりも少ないです…涙。まあ仕事が忙しいのでしょうがないですが。
先日ようやく2回目の『単独忍び猟』に出猟できました。多くの学びもありました。やはり『単独忍び猟』は面白い!
狩猟の醍醐味が詰まっている。改めてそう認識した一日となりました。
晴・気温:最低気温4℃ 最高気温15℃ 日の出時刻:6:48
朝4時過ぎに起床し、5時過ぎには自宅を出発。6時20分には猟場へ到着し山へ入る準備をします。いざ準備が出来たらゆっくりゆっくりと山に入っていきます。まだ日の出前ということもあり薄暗い山。一歩踏み出す時の緊張感がとても心地よく感じます。
今回は以前から狙っていたポイントを目指します。ポイントへのルートは初めて入るルート。本当は下見をするべきなのですが…しておりません。ぶっつけ本番です。それも良しということで歩を進めていきます。
時折立ち止まりながら周囲を見渡します。今シーズンの改善ポイントはこの“歩き方”です。どうしても趣味である登山の癖で、速足になりがちです。つまりこちらから私の位置を獲物に知らせているようなものですねw。
そしてそのまま尾根に着くと、陽は登り始め明るくなっていました。尾根は左右に伸びているため、どちらを選択するか悩みますが、とりあえず左側に行く事にしました。ここからはさらに歩き方に注意を払います。
そして、尾根が左側にカーブしているポイントに到着しました。山の斜面に朝日があたっています。こういうところで鹿は寝ているのかな~と、特に意識せず斜面を見ていると何か木の間に違和感を感じます。木の間に白い物体が見える。なんだろう?と見ていると、その時視覚情報として捉えていた物体が脳内の鹿に対する知識と一致し、木の間にいるのが“鹿”であると認識しました。
距離は20mくらいでしょうか?これはチャンスと思い射撃体勢に入りますが、ここからが雑でした…装弾を装填し遊底を閉鎖、相棒を構えますが、この一連の動作が雑だったため、鹿に気付かれてしまいました。猛ダッシュで逃げ去る鹿、しかも「ピャッ」という警戒音着きw。その鳴き声止めて~と思いましたが、時すでに遅し。鹿は木々の間を縫うように走り去ってしまいました。
もしやこれが「木化け」?これまでそのような鹿の必殺技を聞いてはいましたが、私は「視力もいいし、そんなの見つけられるでしょ」と完全に高を括っていました。恥ずかしい…まさに「木化け」でした。舐めていましたね。反省しかありません。
そしてそのまま引き返し、反対側に向かうことにしました。
今回の右ルートはどうやら猪が多い感じです。至るところに派手に掘り返した跡があります。これは猪に出会えるチャンスかもという事でテンションも上がります。でも冷静に。
少し古いものだと思いますが、猪が牙で付けた後がはっきりと残る木を見つけました。初めて見ました。傷がついている高さからすると、かなりの大物らしいです。ここも掘り返した跡がそこらじゅうにあります。どんぐりの木が多いからかもしれません。今シーズンは豊作なのかもしれませんね。イベリコ猪美味しそうですw。
猪の痕跡調査に気を取られていた時に落石の音がしました。しかも結構大きい石だということが転がり落ちていく音から想像できます。落石は私がいる尾根と縦走している尾根から聞こえてきました。単眼鏡を取り出し落石の音がした方向を確認します。
なんとなく落ちた石はわかりました。そしてそのまま単眼鏡を上方にゆっくりとトレースしていくと、鹿がいます!結構な急斜面を登っています。お前はカモシカの血が流れているのか?と疑いたくなるような斜面です。急斜面のため流石の鹿も歩行速度が遅い。これはいけるかもと相棒を構えます。
距離は30mといったところです。バックストップも十分。鹿はゆっくりしか動けない。しかも登山中のため頭部から殿部まで綺麗に晒してくれています。これは絶好のチャンス!相棒を構えますが、よくよく考えると、装弾が命中→鹿は斜面を転げ落ちる→石に体をぶつけまくる(内出血だらけ)→転がり落ちた先は急登の下→回収するのも困難…
とうことで、泣く泣く撃つのを止めました。ただのエゴかもしれませんが、どうせ殺すなら美味しく肉をいただきたい。駆除ではなく趣味ですからね。なんでも撃つハンターにはなりたくない。踏みとどまってよかったと思います。
鹿に別れを告げ、さらに歩を進めていきます。
お~倒木の皮の一部が綺麗に剥がれています。猪か鹿の通勤路でしょね。こういう発見があるとさらにテンションが上がります。しかしテンション上がりすぎると動作が雑になってしまいますね…この後歩いていると陽当たりのいい斜面にいた鹿に気付かれて、逃げられてしまいました(涙)。
結局この日は3頭の鹿に出会いましたが、撃つこともなく終猟となりました。
今回「木化け」を経験した事で今後は視覚情報からの認識能力が若干上がると思われる。しかし、あまり鹿や猪と思いこむと脳内補正によりそう見えてしまう事もある。それが誤射につながる事もあるため、十分気を付けなければならないと思われた。