今回は『巻き猟』です。前回も書いたのですが、今シーズンは私以外のメンバーは年齢の関係から尾根付近の“待ち”には着けない状態です。例えるならば、内野を8人で守り外野は私1人のみ...当然守備範囲はとてつもなく広くなります。例年以上に獲物の動きを予測し感知して臨機応変に動かないといけないでしょう。前回の『巻き猟』でそれを痛感しました。
気になる点としては、これまでとは獲物である鹿などの動きがこれまでのシーズンとは異なるという事でしょう。まだ明らかではありませんが、前回の『巻き猟』ではほとんど動きや存在を感じませんでした。絶滅したのか?とも思ってしまうくらいに。
今回はどうなるのか?
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今回からある事がルーチンに加わりました。登りなれた山ですし、ある程度鹿などが逃げてくるルートも理解しているつもりです。しかし前述の通り、守備範囲が広いためある程度の予測は立てておく必要はあるかと考えています。そのため、“待ち”に着く前に尾根付近の痕跡の観察を行います。特に獣道を最近は使用しているのかなどを軽くチェックしてから、息を潜めて“待ち”に着きました。
呼吸を整え殺気を消し(たつもり)て待機していると、猟犬が放たれたと無線が入ります。この瞬間緊張感があがります。しばらくすると銃声が聞こえてきました。あれ?まだ犬の鳴き声聞こえてきてないけど...と思いつつ、自分の所にも来るかもしれないと希望的観測を持ちつつさらに息を潜めます。無線にも特に何も入ってきませんが、2発そして3発と続けて銃声が聞こえてきます。
『巻き猟』に参加して4シーズン目。なんとなく自分の所には来なさそうな時がわかるようになりました(涙)。これは来ないだろうな~と集中力が切れ始めていた頃(待ちとしてはアウトです)無線に誰かが鹿を仕留めたと連絡が入りました。
よし、登山終了!気持ちを切り替えて山を下ります。もしかしたら今シーズンは何も獲物が取れずに、さらに言えば何も見ずに終猟となるかもしれないと思いつつ下山しました。まあ獲物が獲れたという事はいるという事なので、絶滅はしていなかったという事ですw。
下山して解体場へ移動。みんなでワイワイ楽しく(特に仕留めた方は満面の笑み)解体いたしました。おこぼれはいただきました。
もしやこれは期待できるかも。俄然やる気になる私。猟犬はあの辺から離すから、おそらくこの辺りを通るだろうと予測し、息を潜め“待ち”に着きます。無線を入れますが、返事がない...聞こえていないのだろうか?おそらく大丈夫だろうと勝手に判断しそのまま待機します(のちほど聞いた話では無線が届いていなかったようです)。特に犬の鳴き声もせず銃声も聞こえず、何も起きないままただ時間だけが過ぎていきます。
そうこうしているうちに無線が入りました。なんとすでに猟は終わっておりました...え?すでに皆さん集合場所にいるそうです...え?私だけ何も知らずにただ待っていたのか...どこまでも今シーズンはツイていないなと思いつつ、脱包し山を下り始めます。獣道付近を下山していた時、何か視線を感じます。
私の位置より少し上の木々の間からこちらを見下ろすように雄鹿が立っていました。あたかも侵入者を睨み付けるかのように。この辺りを縄張りとしているのでしょう。まさかの事態に一瞬我が目を疑いましたが、紛れもない雄鹿です。
絶好のチャンスがかわいそうな自分に到来しました。すでに脱包していたため、ベストのショットホルダーからゆっくりと装弾を取り出します。そしてゆっくりと装填。相棒のウリカを据銃します。軽度の打ち上げ、バックストップも十分。距離は約30mといったところでしょうか。有効射程距離です。勝手に都合よく山の神に感謝しますw。調子いいな~と少しだけ思いました。
雄鹿と視線を合わせたままスローモーションのように発砲準備をしたため、まったく逃げようともしない雄鹿。成長したな俺とまたも調子いい事を考えてしまう自分w。外す気がしない!ただ一つ気になるのが雄鹿の配置。木と木の狭い間に立っており、全身が見えているわけではないという事でしょうか。やるな雄鹿とニヤつく自分。まあ大丈夫だろうとネックショットを狙います。
ゆっくりとトリガーを引き今シーズン初の猟場での発砲!これぞ狩猟の醍醐味と感じつつ銃声が響き渡ります。私が撃ったスラッグ弾は雄鹿の顔の横にある木を一部剥ぎ取りました。一気に逃げていく雄鹿。2発目は装填していないため、二の矢は撃てません。血痕がないか急いで確認に向かいましたが、残念ながら何もなし。この距離で外してしまった。
なぜ外したのか?何度も自問自答しますが、腕が悪い...結局はそれだけです。もっと自己研鑽を積まないと。猛省しながら下山しました。結局この日はこれで解散となりました。最後の最後に外野を一人で守るかわいそうな私の所にフライが飛んできましたが、まさかの落球...まあこれも狩猟だなと気持ちを切り替え、そしてある意味メンタルの成長を実感し岐路に着きましたw。