さてさて、今回は今シーズン2度目の『単独忍び猟』となります。すでに年も明け、猟期も折り返しておりますが...コロナの影響もあり、あまり狩猟には出動できておりません。特に『巻き猟』は。10人くらいは集まりますからね。そんなわけで、この『単独忍び猟』は私が出動できる貴重な狩猟です。
さらに今シーズン加わった相棒「Savage212F」を持ち出せるので、楽しみな時間でもあります。これまでは撃つことすらためらった距離からでも撃つ気にさせてくれるのは、すでに射撃場で確認済み。そして今回は、前回の『単独忍び猟』の反省点を生かし、すでに収集しているデータをもとに猟場を歩いてみたいと思います。
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天気:晴
気温:最低気温7℃ 最高気温15℃
日の出時刻:6:46
使用銃:Savage212F
装弾:Remington PREMIER COPPER SOLID
前回はこれまでの成功体験(といっても仕留めたわけではありませんが)にとらわれ過ぎて、まったくの外れでした...鹿や猪とは一切出会わず、遭遇したのは猿のみ。いい経験でした。今回は、下見で得ていたデータをもとに一気に猟場を変えてみました。吉と出るか凶とでるかはわかりませんが、仮説が正しいのか否か?検証しないといけませんからね。
猟場には日の出前に到着。準備を整えて日の出前に山に入ります。冬とは思えないくらい暖かい日ですが、さすがに薄暗い森の中はひんやりしています。なるべく音を立てないようにゆっくりとゆっくりと歩を進めていきます。これはいつもと同じ。異なるのは、新しい鹿の糞や足跡などの痕跡が確認できるという事でしょうか。ここまでは仮説通り。大事なのはここから。鹿よりも先に見つけないといけません。昨シーズンまでは先に見つかり、警戒音を発して逃げていく鹿の後ろ姿を眺める機会が多かった。相棒はハーフライフルとは言え、先に見つけるのが最も理想的なシチュエーションでしょう。
気配濃厚なエリアを歩いているとおのずと集中力が上がります。ゆっくり歩を進め、立ち止まり周囲を確認。この繰り返し。そして目をつけていたポイントに到着。ここからは鹿の寝屋狙いです。寝屋も確認済み。沢から続いている通勤路を確認します。足跡は新しい。現在も通勤路として使用しているようです。これはチャンスあるかもしれないと、鹿の通勤路をゆっくりと追っていきます。
木の陰から単眼鏡で寝屋の周辺を観察します。ゆっくりと単眼鏡を動かしていきますが、鹿はいない様子...そこから寝屋まで上がり直接確認しましたが、不在。下見をしたのは猟期前でしたので、すでに引っ越しをされたのかもしれません。またはまだ勤務中で留守にしている可能性もあります。ここで待ち猟に切り替えるという戦略もありましたが、私は次のポイントへ移動する事を選択しました。単純に山を歩きたいというのが大きな理由かもしれません。
“牛”でした。「こんな所になぜ牛が?」完全に牛と錯覚してしまった自分。冷静に考えればいるわけがないのですが、恐ろしいですね錯覚は。さらに歩を進めていくとただの倒木に自分の情報が上書きされました。見る角度によっては牛ですが、別の角度からはただの倒木。まさに錯覚ですね。脳内の情報が牛を判断してしまったため、そのようにしか見えない。狩猟中の事故もこのような錯覚というか、思い込みが起因している事は十分あるでしょう。より一層の冷静さが必要です。今回は倒木でしたが、撃ち気にはやっていると、人間もそのように見えてしまう事も。今一度気を引き締めてその場を去りました。
しばらく尾根を登ったところで一度休憩を挟む事にしました。まあ時間はまだあるし。今までは歩きづくめで狩猟を行っていたので、ある意味成長したかもしれません。座りやすそうな石を見つけ、腰を下ろします。持参した珈琲を飲みながら一息つきます。行動食を口にし、ただボーッと森を見ている。とても穏やかな時間が流れています。例え、獲物は獲れなくてもこれはこれでいいかもな...と思っていた時。私がいる位置よりもさらに下の覆い茂ったシダの中からガサガサと音が聞こえてきます。しかも小動物ではない音量。姿こそ見えませんが、時折聞こえてくるブヒブヒ音が否が応でも期待を膨らませてくれます。
私もゆっくりと立ち上がり、装弾を装填してボルトを閉鎖します。まだ引き金には指は掛けません。あくまでも姿が見えてから。そのまま息を殺し待ちますが、まったく姿を現す気配がありません...う~ん、ちょっと刺激を入れた方がいいかもしれないと、石を藪の中に投げ入れますが反応なし。メンタル強いのか、よほど夢中になるものがあるのかわかりませんが、3回ほど石を投げても反応なし。だからと言って、猪と決めつけて姿も確認していない状態で撃つ事はありえません。辛抱強く待ちます。
40分程度待っていたでしょうか?ある時を境にまったく音がしなくなりました。その後も待っていましたが、結局そのまま。私に気付いたかどうかはわかりかねますが、立ち去って行ったようです。無理して撃たないという正しくも当たり前の判断を下した自分に納得しつつも、他にアプローチの方法があったのではないか?自問自答しながらその場を私も立ち去りました。
その日は午後を少し回ったところで終猟。そのまま下山して帰路に着きました。