今更ながら狩猟デビュー(2018.2.4)
2018.2.4(日)。猟期もあと約一カ月(愛知県は大物猟に限り3.15まで)となって、ようやく狩猟デビューを果たしました。
なぜ今更?という感じですが、今回は私が入隊した猟隊の 『巻き狩り』 に参加させていただきました。以前に見学では参加したのですが、自分の猟銃を持ってはもちろん初。1R目はとにかく緊張しました。
巻き狩りとは日本古来からの狩猟スタイルで、犬や人が鹿や猪を追い立て(勢子)、獲物が通りそうなポイントで待ち構えている射手(タツマ、待ち)が、逃げてきた獲物を仕留めるという伝統猟法です。
私がデビュー戦ということもあり、猟隊の方が気を使って、獲物がよく通るポイントに 『待ち』 として配置していただきました。自分の猟銃を持って入る山、安全に気を配りながら、周囲の物音や動物の気配に神経を尖らせます。
山が静寂に包まれ、私自身も気配を殺して指定のポイントでスタンバイする中、師匠の無線に猟犬が放たれたと連絡が飛びました。愛銃に実包を装填し、さらに緊張感が高まります。師匠はGPSを持っているので、猟犬がどのように獲物を追っているのかがわかります。少し離れた所から銃声が何発か聞こえてきました。さらに高まる緊張感... しかし、1Rの最後まで残念ながら私が位置したポイントに獲物は逃げてきませんでした。ある程度獲物の動きを予測して 『待ち』 を配置しますが、必ずしも獲物が来るかどうかはわからない。これが巻き狩りなんだと勉強になりました。
鹿が一頭取れたので、1R目は終了し、解体に移ります。そして私は猟犬の回収に師匠と向かいます。遠く離れた猟犬たちを手分けして回収する。大事な仕事です。GPSである程度猟犬の位置は把握できますが、呼びかけに答えて帰ってくる犬もいれば、なかなか帰ってこない犬もいます...猟銃を背負い山を登っていきます。この時私が一番若かったので(特別若くはありませんが)、先輩方より先に上がっていきます。登山が趣味なので山登りは苦にはなりませんが、登山道ではなく道なき道を行くため、慎重に登ります。途中「けもの道」らしきものがありました。鹿と思われる足跡もあります。そこをたどると割と楽に登れます。先輩方には辛い犬の回収も初心者の私にはいろいろ勉強になるので楽しめます。
すべての猟犬を回収し、休憩後に2R目が始まります。今度は稜線に近いポイントで師匠と待機します。猟犬が放たれたとの無線が入り、愛銃に実包を装填します。少しの時間が経過したときに我々のポイント近くまで鹿を追う猟犬が来ていることがわかりました。師匠が他のポイントも見てくると、現在のポイントを離れます。私はとにかく気配を殺し、待ちます。少し待つポイントを変えようかと視線を変えた瞬間、親子の鹿が約30m先を全力で疾走していきました。銃を構え、引き金を引こうとしましたが、打ち上げだったことや木が多いところだったため、引き金は引けませんでした。
その後、少しして師匠が鹿を追っていた別の猟犬を連れて戻ってきました。師匠に鹿を見たこと、撃てなかったことを報告しました。また鹿が戻ってくるかもしれないから、「撃てそうなら撃つくらいでいいよ」とアドバイスをいただき、『待ち』にもどります。
その十数分後、本当に先ほど見た鹿が戻ってきました!バックストップなど安全面を確認しましたが、あまりに驚いてしまい照星に走る鹿を重ねず、しかも頬付けや肩付けも甘かったように思います。が、引き金を引きました...初めて打つ猟場での散弾銃。集中していたせいかリコイルショックや銃声は全く気になりませんでした。そして、続いて2発目も打ち込みます。
残念ながら鹿には当たらず、そのまま方向を変え、尾根を下っていきました。師匠がすぐに下で待つ、『待ち』に無線を入れます。少しして銃声が2発聞こえ、無線に仕留めたと連絡が入りました。
猟隊全体に無線が入ったため、『待ち』を解除し、下山します。私は鹿を仕留めることはできませんでしたが、猟場で初めて打つ実包、鳴り響く銃声、躍動感あふれる鹿の疾走、そのすべてが新鮮で自分の心臓の音が聞こえるくらい(たぶんです)、興奮が高まっていました。
仕留めた鹿は解体場に持っていき、ベテランの方々が手際よく解体していきました。2頭の鹿を捕りましたので、猟は終了し、肉の分け前をいただき解散となりました。最後に師匠からは「もう少し鹿の前方を狙ったほうがいいよ」とアドバイスをいただきました。確かに鹿が走っていれば、引き金を引いた瞬間はもう移動しているので、同じ場所にはいません...次は仕留めれるように今日からイメージトレーニングですね。
人間は『運動イメージ』が運動に先んじて想起され、その通りに運動が実行されるが、実際はこの運動イメージと実際の運動には誤差が生じていることが多い(特に初めて行うことでは)。そのため運動イメージと運動を一致させるための『feedback』が必要となる。今回は鹿に弾が当たらなかったことが『feedback』となる。次はもう少し前方を狙い当たれば運動イメージと運動が一致し、射手としての腕が上がると思われる