両目照準と片目照準、どちらが優れているのか?

Shooting Diary


こんにちはBorkです。今回以前から気になっていたこと、「両目照準と片目照準」について調べてみました。一体どちらが優れているのか?個人差ももちろんあるとは思いますし、スコープを使用するとまたその答えは変わるでしょう。よって、あくまでもクレー射撃の際の照準に絞って話を進めていきたいと思います。

「両目照準と片目照準」どちらが優れているの分かれば、もしかしたらクレー射撃のスコアが少しばかりあがるかもしれません。スコープを使用しない狩猟時にももちろん役に立つと思われます。今年度は初のフルシーズン参戦となりますので、一頭くらいは猟果をあげてみたいんですよねw。

しかしながら、この「両目照準と片目照準」の比較、これまであまり詳しく聞いたいことがありません。そこで「両目照準と片目照準」について、科学的に解明していきたいと思います。たぶんアカデミックです。

ちなみに私は現在のところ「片目照準」です。

両目照準と片目照準の違いは?一般論から
では「両目照準と片目照準」の何が違うのか?まずは一般論から。一般論と言っても、あくまで私が射撃をやっている方々や銃砲店の方から聞いた話ですので少々偏りはあるかもしれません。

両目照準は、「物が立体的に見える」「視野が広がる」「奥行きがあるから距離感をつかめる」といった事を上記の方々から聞きました。つまり、片目照準よりも両目照準のほうが優れているということを述べています。

どれもごもっともな意見だと思います。では実際にそうなのか?これを批判的吟味に基づいて科学的に検証していきたいと思います。

両目照準と片目照準の違いは?批判的吟味から
それでは先述した、両目照準のいわばメリット「物が立体的に見える」「視野が広がる」「奥行きがあるから距離感をつかめる」について調べてみましょう。

「物が立体的に見える」と「奥行きがあるから距離感をつかめる」の2つはほぼ同義と考えてもいいかと思います。つまり片目照準では対象である“皿”や“獲物”を3Dで見ることができないということですね。

しかし、これは違います。例え片目で対象物を見ても、奥行きもしっかりと把握できます。つまりちゃんと3Dでモノを捉えているということです。ただし、両目でみたほうが、もちろんその解像度等はあがると思います。

では、人はどのようにして対象物を見ているのか?そこから説明したいと思います。まず少し話はそれますが、運動神経について説明させていただきます。脳から出た運動神経は脊髄を通り筋肉まで下行していきます。その過程である延髄において左右の運動神経の大部分が交叉します。このため、脳梗塞や脳出血が発症すると、障害された脳の部分と反対側に運動麻痺が出現します。つまり、右脳が障害されれば、左の上下肢に運動麻痺が出現するということです。

一方で視覚も同じように交叉しているのでしょうか?これは半分正解で半分不正解です。以下の図を見てください。視覚の場合、半分は交叉しますが、残りの半分は交叉せずに脳の視覚領域に達しています。

出典:https://www.js-brain.com/kankaku/sikousa.html

少し複雑ですが、視覚の場合、右視野は右目と左目両方で、左視野も左目と右目の両方で見ているということになります。というか、見ています。

そのため、たとえ片目で照準を合わせても、左右両側の視野を片目で見ていることになりますので、対象物を3Dで捉えることができるというわけです。

もう一つの一般論「視野が広がる」というのは、その通りですね。いまさら説明の必要はないかと思います。

ヒトはいかにしてモノを見ているのか?

まず、モノを見ているのは眼球という器官ではなく、“脳”でモノをみています。眼球はあくまで外界からの光の情報を取り入れている末梢の器官ということになります。脳の機能局在では視覚は後頭葉と頭頂葉・側頭葉の一部の領域が支配しています。

そして眼球を通して入力された外界の情報は、外側膝状体という視床を通り、視覚のメイン支配野である後頭葉に向かいます。前述した図でわかるように左視野の情報は右脳に、右視野の情報は左脳に入力されます。

つまり、眼球に入る外界からの光情報が網膜を通ることにより、電気信号に変わり、その情報が脳に達し、意識にまで登ると、初めて「モノを見る」ということになるわけです。

まとめると、片目でも立体感を感じることが出来るのは、眼球への情報が左右の視野から入力されているということと、さらにその情報からモノの陰影などを脳が判断し、対象物に立体感などを作り出しているということになりますね。

結局両目照準と片目照準どちらがいいのか?
人の目は左右に別れて位置しています(6cmくらいでしょうか?)。そのため、左右で見る像が少し異なっています。たとえば、次のような確認方法があります。二本の指を一直線上に配置し、顔から離れた所に置きます。そして片目ずつ交互に見ると、奥にある指が前にある指の左右に交互に現れます。

この左右の目による水平方向の“位置ズレ”を「両眼視差」と呼びます。そして、脳はこの「両目視差」を利用して、対象物の奥行きを判断し、モノに奥行きを生み出しています。

このズレが両目照準と片目照準の優劣のポイントになると思います。上記からは両目照準ではズレが生じにくいということになりますね。ではこの確認方法をバレルの先にある照星で実際に試してみるといいと思います。私の場合は、正面と右側にある対象物と照星の重なりが片目照準と両目照準時で異なります。どちらも片目照準の場合は実際の位置よりも若干右側にズレます。数mの距離でもズレが生じているので、距離があればあるほどそのズレは広がると思われます。トラップ射撃で右側方向のスコアが低いのはこのためである可能性が考えられます。

このズレを理解し、射撃時に計算して撃つことが出来れば、両目照準と片目照準の差はあまり出ないのではないのでしょうか?こればっかりは射撃場で試してみないと、結果はわからないので、次回試してみたいと思います。楽しみです。

まとめ
今回は、射撃という非常に奥が深い技術のうち、両目と片目という照準に絞ってまとめてみました。私自身は現在片目照準で射撃を行っております。どちらが優れているかというと、生理学的な視点からは両目照準という事になります。なりますが、上記のようにズレを理解し、計算に入れた上であれば、差が無いかもしれません。

私も今回調べたことを次回射撃場で実践してみてみたいと思います。少しでも射撃技術を向上させていきたいので。その報告はまた近いうちにさせていただきたいと思います。それではまた。