狩猟記 巻き狩り #8

Season 2 (2018)


ついに3月です。つまり猟期も終わりがやってきました(※当県は大物量に限り3月15日まで狩猟可)。もうすでに猟期が終了している地域も多いと思います。3月15日まで行えるのはありがたいですね。

しかし、最近は出猟しても残念な事に獲物が私のポイントまで廻ってきません(涙)。私の“待ち”のポイントは大概尾根のような山の上の方です。猟期始めのころはよく獲物が廻ってき来ていたのですが…最近は下の方の“待ち”のポイントで仕留められているんですよね。

同じグループなので嬉しいのは嬉しいのですが、どうせなら自分で獲物を仕留めたいというのが本心ですねw。まあこればっかりは“運”もあるんですけど。

ということで私が参加できる『巻き狩り』も今回を含めて2回のみ!ちなみに『単独忍び猟』は予定していた最後の日が大雨だったため出猟できずそのまま終了しました(涙)。もう一頭くらいは獲物を仕留めれたらと思っていますが…果たして?

Hunting Diary
1R目
いつものように少し早めに集合場所に到着。そしていつものようにすでに来ている方もいらっしゃいますw。まずは挨拶して談笑。私としては久しぶりの出猟のため会話も盛り上がります。

ただこの日は天気が悪く、午後からは雨予報となっております。空も薄暗く今にも雨が降り出しそうな感じです。山に入ると木のおかげでそれほどは濡れませんし、私が着用している狩猟着のFJALLRAVENは防水機能も高いためそれほどは気になりませんが、それでも晴れているほうがいいですよね。さらに雨が降っていると獲物の足音などが聞こえないという点も問題になるかと。

そうこうしているうちに徐々に人が集まってきました。そして作戦会議が始まります。そして猟犬を入れる場所が決まったら、“待ち”が決まっていきます。私に今回割り振られたのは、尾根ではなく、沢の近くです。おそらく尾根まで獲物は逃げていかないだろうとの判断から導き出されたポイントです。

今回のポイントは初めて入る場所のため、先輩方からしっかりと情報収集します。ある程度わかりましたので指示されたポイントに向かいます。途中足跡や糞、木の皮剥きなどのフィールドサインを観察しながら歩きます。これが結構楽しいですね。途中で観察できたのは、鹿の糞(新しめ)や木の皮剥きなどを確認しました。

そして指示された“待ち”のポイントに到着。周辺の環境を見渡し、いつものルーチンを行います。犬を放す方向から獲物が逃げてきそうなルートを推測し、イメージトレーニング。その後気配を可能な限り消して待ちます。狩猟を始めた当初はこの“待ち”で結構そわそわしていましたが、最近はそのようなこともなくなりました。大分『巻き狩り』にも慣れてきたということですね。

しばらくすると、犬達の鳴き声が聞こえてきました。この瞬間一気に集中力が増します。どんな動きも見落とさぬように集中します。徐々に近づいてくる鳴き声。期待できそうな感じですが、まだ吠え方がなんとなく獲物を見つけたときとは違う感じです。上手く伝えることはできませんが、犬がそれほど興奮していないというか何というか...

そう思っていると、徐々に犬の鳴き声が遠ざかっていきました。油断はしてはいけませんが、この瞬間「終わったな...」と思ってしまいます。そして予感は的中。結局獲物はどこのポイントにも出ずに犬達を回収して終了となりました(涙)。やはり獲物運が...

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2R目

雨が徐々に強まりつつあるため、おそらくもう1R行ったら終了になると思います。そしてまた作戦会議。犬を入れる場所を決め、次に“待ち”のポイントを決めていきます。そして私に割り当てられたのはいつもの尾根。ここはもう完全に私の縄張りのような感じですw。そして急いで尾根を目指して山を登っていきます。今シーズン何度登ったことか。もう慣れたものですね。

そしてポイントに到着。この尾根は長いので1人でカバーするにはちょっときついんですが、他に人がいないためしょうがないですね。犬の鳴き声を頼りにして状況に応じて動いて行くしかないと思います。

そして気配を殺し待っていると、2匹の犬が私の横を通り過ぎ尾根伝いに他の尾根の方に走っていきました。まだ興奮している様子はありません。また終わったな...と思ってテンションが下がり始めた頃。犬達の鳴き声が聞こえてきました。今回は近い。一瞬でテンションが上がりますw。鳴き声も興奮している様子。これは間違いありません。獲物を見つけましたね。でかしたぞ猟犬と思い、鳴き声の方に五感を集中させます。

しかし、尾根伝いにこちらに逃げてこない限りは撃てそうにはありません。木が多く獲物を視覚で捕らえにくいだけでなく、仮に発砲しても木に弾が中るだけだと思います。こちらに逃げて来い!そう願いさらに意識を集中させます。

すると、山の下の方で木々の間を白いお尻が走っていくのが見えました!見えましたが、距離的には超ギリギリ射程範囲かな...さらに先述したように木々が多く撃っても中りそうにありません(涙)。こういうとき「とりあえず撃て」と言う方もいると思います。実際私もそのように言われたことはありますが、撃つ意味が見いだせない時は撃たなくてももちろんいいと思います。ということで私は撃ちませんでした。

そのうちに鹿が走っていった先から銃声が聞こえてきました。そしてどうやら仕留めたようです。やはり獲物運に見放されているのか?そう自問自答し山を降りていきました。まあしょうがないんですけどねw。

獲れた鹿を解体し、昼食を濡れない場所でとり、雨も大分強まってきたためこの日は終猟となりました。残念...

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まとめ
そういえばですね、今回初めて他のグループの方々と鉢合わせしました。2R目に山に入ろうとした際にいつも車を停車する場所に見慣れない車が2台ほど停車していました。こんな所に車を停めるのはハンターくらいしかいないだろうと、同じ方向に登っていく仲間と話していました。しかもみんな若手...とりあえず会長に電話して他のグループが入っているかもしれない事を伝えました。会長からはこちらに向かうから待っててくれと指示がありました。

待っている間、山の方を見ていたらオレンジのベストを着た人が折りたたみ椅子に座っているのが見えました。すると相手も私たちに気付いたらしくこちらに向かって歩いてきました。何か言われるかな〜とかトラブルになるのかな〜とかよからぬ事が頭をよぎります。

降りてきたのは高齢ハンター。まずは挨拶をします。やはり他のグループが先に山に入っているとのこと。ただ、私たちが入るなら出ていきますよと譲ってくれました。そのうちに会長が来たので後はお任せします。やはり譲るとのことで私たちが山に入る事になりました。

ハンターの縄張り意識とかよくネットなどで見ますが、穏やかな話し合いで今回は決着しました。お互いグループ同士のため穏便に終わったのかもしれません。これが『単独忍び猟』だったら...また違っていたかもしれませんね。もちろん絶対にトラブルになるとは限りませんが、お互い言い分がありますからね。狩猟を始めるために準備をしていた頃は、縄張りなんてくだらないと思っていました。しかし単独猟とグループ猟の両方を楽しんでいる現在は、縄張りを主張したいその気持ちもわかります。

何はともあれトラブルにならず本当に良かったと思います。縄張り争いだけではなく、他のハンターが入っているのを知らずに山に入って誤射されるという可能性も否定できませんので。私が今シーズン出猟できるのはあと1回。3月15日の最終日のみです。その日はなんとか獲物を仕留めたいものです。それではまた。