狩猟記 単独忍び猟 #3

Season 3 (2019)


今さらですが、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
新年一発目の記事は、年末の『単独忍び猟』になります。今シーズンは諸事情により、『巻き狩り』にはあまり参加できておりません…

今回の『単独忍び猟』は初の霧中での狩猟となりました。さらに獲物以外とも出会いがありました。山は奥深い…改めてそう思える狩猟でしたね。

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狩猟記 単独忍び猟 #2

狩猟記 単独忍び猟 #1

天候
曇りのち晴・気温:最低気温5℃ 最高気温12℃ 日の出時刻:6:52
Hunting Diary
狙いは沢

いつものように日の出時刻を確認し、猟場に最低30分前に到着するように自宅を出発。前日は雨でしたが、当日は晴れ、気温も上がるとの天気予報。少し薄着で狩猟に臨みます。

日の出時刻の少し前に山に入ります。静まり返った森の中。人間は自分しかいない。この感覚はやはり最高ですね。今回は、沢に水を飲んで寝屋へ帰宅していく鹿を狙います。つまり鹿がよく来る沢がまずは目的の場所になります。

山に入った瞬間から、ゆっくりゆっくりとなるべく音を立てないように歩を進めていきます。すでに沢はありますが、狙いはさらに奥。丁度右にカーブしていくその先です。カーブしているのでこちらも鹿からは死角になります。もちろん鹿は視覚よりも聴覚や嗅覚で私の存在を感じると思いますが、見えない事に越したことはありません。

そして沢が右にカーブしていく分路へたどりつきました。ここからはさらに慎重に歩を進めます。すでに日の出時刻。ここまでは計算通り。そしてゆっくりと顔を出し沢を確認します。少しかがみ気味で。

すると、鹿はいませんでした…

残念。狙いは外れたと思い、右カーブを曲がっていくと「ピャッ」という聞きなれた警戒音が。そしてガサガサと木々をかき分けて逃げていく鹿の姿が…

一気に走り去っていく鹿達。おそらく最低2頭はいたかと思います。狙いは当たっていましたが、時間的には少し前に水を飲み終わり、寝屋への帰路に就こうとしていたのでしょう。油断せずに周囲をちゃんと確認していたならば、もしかして…

たらればなので言ってもしょうがないのですが、この辺り我ながら詰めが甘いんですよね。次に生かさないと駄目ですよね。

狙ったポイントで鹿には遭遇しましたが、もちろん仕留めることはできなかったため、進路を変え次のポイントに向かいます。ここからは寝屋で就寝中の鹿や猪狙いです。

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狙いは尾根

気を取り直して次のポイントを目指します。南側の陽が当たりやすい尾根まで山を登っていきます。ここでももちろんゆっくりと歩を進めていきます。そして時折立ち止まり周囲を観察。この繰り返し。尾根に上がるころには周囲は完全に明るくなっていました。

しかし、この日は前日の雨から急激に気温が高くなったため、尾根付近は霧が立ち込めていました。道を迷うほどまではいきませんが、視界はかなり悪くなっています。こういう時注意しなければならないのは、滑落ももちろんそうですが、何よりも誤射かと思います。何かガサガサしているからドン(撃つ)、いわゆる“ガサドン”を起しやすい状態です。冷静な姿勢・対応が求められます。

こちらからも獲物は見えませんが、相手からも見えないはず。これは意外とチャンスかもしれないとさらにゆっくりと歩を進めていきます。すると、エンジンの始動音が遠くの方で聞こえました。この辺りは車も入れないしな~気のせいかな~と思いつつさらに歩いていると、またエンジン音が聞こえてきます。

もしや林業の方がはいっているのかもしれない。自分の少ない経験の引き出しから導き出された答えがそれでした。しかし、年末に?林業の方々が入っている痕跡はないんだけどな~と思っていると、エンジン音がどんどん近づいてきます。聞きなれたエンジン音。姿はまだ見えませんが、この時確信しました。バイクだと!

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予想は的中…

予想は的中しました…2台のオフロードバイク(オフ車)がこれから登ろうとしていた尾根上の急登を降りてきます。猟銃を肩にかけ、相手に恐怖心等を与えないように注意します。まずは挨拶。相手方もまさかハンターがいるとは思っていなかったでしょう。びっくりした様子で挨拶を返してくれました。

この時2台目に来たオフ車のライダーが、なんとハンターでした!そのためバイクを止めしばし狩猟話に花が咲いてしまいましたw。まさかハンターとは…その後別れを告げ、2台のオフ車はけたたましいエンジン音とともに去っていきました。

オフ車いいな~懐かしいな~と思いましたが、同時にこのエリアは今日は終わったな…(涙)と肩を落とす私。こんだけ騒ぎ立てたらもう逃げてるだろ獲物さん達は。ハッハッハ。諦めて引き返し次のポイントを目指します。まだ時間は十分にあります。

この時もうしばらくは獲物には会わないだろうと集中力切れ気味で歩いていました。そうしているとガサガサと斜面から動物が動いている音が聞こえてきました!

少しタイムラグはありますが、バイクのエンジン音にびっくりしたのか鹿が3頭尾根の上に上がってきたのです。まさか!と思い、相棒のウリカを構えようとしますが、霧が立ち込めているため鹿のシルエットしか見えません。しかもバックショットも確認できない。歩いてきた道なので何もない事は承知しておりますが、もし誰かいたらと思うと撃つことはできませんでした。

鹿はそのまま尾根を横切り斜面を下っていきました。完全な油断ですね。まあ油断していなくても霧は出ているので撃つのは難しかったかもしれません。なぜか集中力が切れ気味の時に出会うんですよね、獲物さん達に…

結局この日はこのまま獲物に出会わなかったため、終猟する事にしました。あ、またライダーの方には会いましたよ!お互いちょっと気まずい感じになりましたねw。

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考察
今回、狙ったポイントで鹿に遭遇する事はできた。わずかな時間差で狙い通りとまではいかなかったが、鹿の習性を利用できた点は収穫があったと思われる。

しかしながら、周囲への観察は明らかに不足していた。今後は狙ったポイント周囲への観察も集中して怠らないように注意したい。

さらに山で出会うのは獲物だけではないことを経験した。山はハンターだけのものではないという事を身をもって体験する事ができた。

本日の猟果
獲物0 発砲0