狩猟記 巻き狩り #2

Season 2 (2018)


前回に引き続き、今回もグループ猟(巻き狩り)です。昨シーズンは計4回の出猟でしたが、今シーズンはすでに3回目。出猟すればするほど学びが多く、とても有意義なシーズンを過ごしています。

今回の巻き狩り、私としては非常に満足度の高い出猟となりました。そしてまた多くの事を学びました。

今回は参加人数が少ない...

今回の出猟は祝日ということもあり、『巻き狩り』に参加するメンバーが少ないという情報が事前に知らされました。つまり通常の巻き猟よりも大変ということになりますね。何が大変かというと、グループで行う『巻き狩り』は、「勢子」と呼ばれる人が猟犬を放します(人自身が行うこともあります)。そして、猟犬が鹿や猪を追い立てます。その逃走経路を長年の経験から読み取り、「待ち」を配置し逃げてきた獲物を仕留めます。

この巻き狩りに参加するメンバーが少ないと、「待ち」と「待ち」の間隔が広くなり、獲物が逃げやすくなってしまうというわけです。現在日本の狩猟界に起きている後継者不足は、おそらくこの『巻き狩り』があと数年もすれば人数不足で行えなくなるという事を示唆していると思われます。すでにそういうグループもあると聞いたことがあります。この懸念事項に対して、大日本猟友会などは必死に若いハンターを増やそうと動いているのです。といっても、もしかしたら焦っているのは上層部だけかもしれません。支部のさらに下のグループにおいては、若手ハンターの受け入れを嫌うとこも結構あるそうですからね。矛盾してますね...

話がそれました。ということで、いつもよりも少ない人数(1/3程度)で『巻き狩り』を行うことになりました。私自身はまったく気になりません。出猟できることの喜びの方がはるかに大きいですからね。

1R目開始...
人数が少ないため、いつもよりも「待ち」の配置に慎重です。私自身はそのミーティングは聞いているだけですが、山を知り尽くしている大先輩方はいろいろなイメージができているのでしょう。

そして私にも配置が指示され、その場所へ向かいます。今回の1R目の「待ち」は初めての配置です。新しい配置を忘れないようにメモします。そして、配置につき息を殺して待ちます。猟犬の鳴き声が近くから聞こえてきます。姿は見えませんが鳴き声のボリュームから判断するに、割と近くだと判断しました。集中して周囲に気を配ります。しかし、鳴き声が徐々に遠ざかって行ってしまいました...

この時がある意味一番悲しいですね。しかしながら油断はできません。前回のように猟犬の鳴き声とはあまり関係なく獲物が逃げてくることもあります。集中力を切らさずに「待ち」に徹します。ただ残念ながら獲物の鹿は他の場所に出たらしく、一度「待ち」をとき、集合することになりました。

1R目はこれで終了し、場所を変え2R目を行う事になりました。次も初めての配置です。グループ内で体力が一番ある私はよく尾根の上で「待ち」をすることが多いのですが、今回も例に漏れず尾根のすぐ下あたりで「待ち」をするように指示を受けました。散弾銃を担いで尾根まで上がるのは大変なため、必然的に高齢の方は下の方で「待ち」を行い、グループ内で若手である私は上の方で「待ち」をすることが多いです。

私的には尾根まで登るのはまったく苦にはなりませんね。むしろいろいろなフィールドサインを分析しながら登れるので楽しいです。さらに、猟犬に追われた鹿(猪はわかりません)は上に逃げてくることが多いので、仕留めるチャンスが増えます。チャンスを求めるなら、迷わず上です。

2R目開始...
無数にあるフィールドサインを分析しながら指示された配置を目指します。初めての所はいつも以上に慎重に登ります。そして、指示された「待ち」の場所へ付いたため、まずはイメージトレーニングを行います。林の中ですので、木が多く撃てるポイントは限られています。そのため、鹿がここを通ったらこの辺で、とか何パターンもイメージを作成します。

その後、息を殺して待機していると、猟犬の鳴き声が聞こえてきました。鳴いているということは、鹿などの獲物を追っていると考えていいと思います。深呼吸をして集中します。今回は1R目と異なり、猟犬の鳴き声が徐々に近づいてきています。さらに集中して待ちます。

そして、私が位置している場所よりも約20m上方を右側から親子の鹿が全力で走ってくるのが視界にはいりました。相棒を持ち上げ、射撃体勢に入ります。鹿の動き、進行方向、そしてバックストップの有無をもう一度確認しつつ、深呼吸をしさらに集中します。丁度、親子の鹿が木々の間に差し掛かった時、引き金を引きます。狙うはまず先頭の母鹿の頚部。

銃声とともに倒れる母鹿。子鹿はさらに走り距離は約30m。狙うのはもちろん頚部。そして木々の間から顔が見えた瞬間に引き金を引きます。銃声とともに倒れましたが、まだ動きがあります。どうやら脊椎に入ったらしく、後肢はまったく使えない状態。

相棒から装弾を脱包し、ゆっくり子鹿に近づきます。そして、ナイフを頸動脈に入れ止め刺し。あふれ出す血液。徐々に瞳から失われていく光…私としては初めてのナイフによる止め刺し。銃で射殺するのとはまったく違う感覚です。完全に生き途絶えたのを確認し、そして合掌。

終猟
合掌した後、自分が撃った装弾がどこに入ったのか?確認します。とても大事な作業です。母鹿は狙いどり頚部に入っていました。そして子鹿の方は胸椎に入っていました。狙った部位からは若干後方だったようです。

その後グループの方々に応援をお願いし、二頭の鹿をいつもの解体場に運びました。今回はいつも解体をするベテランの方が一人しかいなかったので、皮剥ぎなどをやらしてもらいました。これもいい勉強です。

そして、今回の猟果は冷静に鹿の動きを分析し、引き金を引くことができたこと、その要因としては直前のイメージトレーニング効果が大きかったかと思いますね。いくら鹿でも走れるところはある程度限られています。そこをしっかりと見極めて撃てたことが最大の収穫です。あと個人的に最も嬉しかったのは、狙い通りの部位に装弾が入ったことでしょうか。欲を言えばもう一頭もネックショットで仕留めたかったんですけどね。これは次回への課題としたいと思います。

前回に引き続き今回も鹿を仕留めることができました。これはもちろんいい「待ち」につかせていただいているグループの方々のおかげです。非常にありがたいですね。今後もグループのお役に立てれるように精進していきたいと思います。それではまた。

本日の猟果
鹿2頭(雌)
Bork
考察
今回も前回に続き冷静に鹿を追うことができた。その要因としては、前回挙げた射撃練習の効果と「待ち」について行ったイメージトレーニングだと考えられた。イメージトレーニングを実施する事により脳内で準備が完了し、そのイメージ通りに体が動き、鹿を仕留めることができたと考えられた。